2021年12月31日金曜日

★ラージャマウリ監督独占インタビュー:私の家族は冷酷な批評家で、気に入らなければ私の作品を容赦なく破り捨てる(#218-下)】


(【上】からつづく)

RRR』の予告編では、『ラーマーヤナ』の世界を垣間見ることができます。今作のアッルーリ・シータラーム=ラージュ、ビーム、シーターの物語は、その影響を受けているのでしょうか?

 私は「ラーマーヤナ」と「マハーバーラタ」に大きな影響を受けていて、私の書く物語はすべて、この2つの叙事詩の影響を受けています。私はそれらを幼少期、青年期に読みました。その後も今も、何度も何度も部分部分、読み返しています。この2つの叙事詩にはない感情が世界にはあります。私はそれらの叙事詩から非常に多くのものを得ているので、私の中から出てくるものが何かしらのその影響を受けているのは間違いありません。それは避けられないことですし、私はそれを誇りに思っています。


思い出に残るエピソードがあれば教えてください。

この映画にはたくさんの思い出があります。この映画のために、三年の間、300日も働きました。だからこそ、一生忘れられない思い出や経験がたくさんあるのは当然です。覚えておきたいことで、1つだけ挙げるとすれば、役者たちのコミットメントです。撮影2日目には、ロープをかけて60フィートの高さまで揺らしてみました。インターバル・シーケンスでは、65日間の夜の撮影で、気温が45度と低く、水を使うと凍ってしまいます。何百人もの役者、格闘家、技術者がいましたが、彼らの献身的な姿勢は素晴らしいものでした。彼らは一度も、「この後何時間、撮影を続けるんだ?」などとは尋ねてきませんでした。彼らはひたすら演じてくれました。だから、それは私が『RRR』を終えた後も、この先ずっと胸に留めておくものの一つです。


Jr.NTRとの4回目の共演作となる『RRR』ですが、この長い付き合いについてはどうですか?また、ラーム・チャランについて教えていただけることがあれば、お話ししてください。

素晴らしかったです。私にとって彼は、一俳優というよりも、友人であり、弟のような存在です。私たちは長い付き合いで、映画以外にもさまざまな話題で長く語り合っています。監督としての評ということであれば、彼は非常に成熟しています。彼は最初から才能の塊でしたが、今では自分の力をどのように発揮すべきかを理解しています。チャランについてですが、やはり彼にも多くの才能があるのだけれども、私が気付いたのは、彼はハヌマーンのような存在だということです。彼は自分の強さを知らない。彼のパフォーマンスを見て鳥肌が立っているところに、彼がモニターを見に来る。私は立ち上がって彼に抱きついたり、称賛の言葉をかけたりするのだけれど、彼はモニターを見て言うんです、「気に入りましたか?このシーンは大丈夫ですか?」とね。私は「何を言っているんだ!自分がどれだけ素晴らしい演技をしたのか分からないのか!?」という。すると彼は、「あなたが幸せなら、私も幸せです」と言うだろうね。そんな風で、彼は自分が良い俳優であることを知らないんだ。それが私にとってのラームで、私の映画ですらそうなんだ。

 

ムンバイで行われたプロモーションイベントでは、映画の中で観客が心臓の鼓動を速め、息をするのを忘れてしまうようなシーンがあると明かしていましたね。それはどういうことなのか、教えてください。

いや、それは話せないよ(苦笑)。普通、映画監督は映画のストーリーを披露しないようにするものだけれど、私は全く逆で、まず最初に、ストーリー、背景、何が期待できるのかを、インタビューやあるいは予告編そのものの中で話すようにしているんだ。観客はチケットを購入する際に、何が期待できるのかを知っているべきだと思うからね。何にお金を払う場合でも、どんなものが見られるかは分かっているべきだし、そうであっても、私はみんなを驚かせることができるはずだからね。そのシーンはサプライズ要素。触れないで置くよ。


長い間、遅れていたこの映画は、来年1月に公開されます。しかし、オミクロンが出現しました。予定通りに映画を公開するのは賢明な判断でしょうか?

私たちは、17日から予定通り、全世界の数千の劇場で映画を公開する準備をしています。私は自分の手元にある問題について考えます。それは私に解決できることだからね。コロナ、パンデミック、オミクロンその他については何であれ、私たちの手元にある問題ではなくて、自然の手の内にあるものです。自然が止まれと言えば、私たちは止まらなければならない。一時停止と言われれば一時停止しなければならないし、再生と言われれば再生しなければならない。だから、自分の手元にない問題については心配しないことにするよ。

パンデミックの影響で、映画の予算は増えたのでしょうか?これは『バーフバリ』よりも予算の大きい映画なのでしょうか?

はい、増えました。何十億ドルも使っているのに、パンデミックで世界中が止まっているのに、金利分は止まらずに増え続いています。それで予算は増えています。映画に三年かけていれば、年々、制作費は増え、資材も年々増えていくのだからね。予算は増えたけれども、それはそれで良しとしましょう。それから、ええ、予算は『バーフバリ』を超えていますよ。

(完)

★ラージャマウリ監督独占インタビュー:私の家族は冷酷な批評家で、気に入らなければ私の作品を容赦なく破り捨てる(#218-上)】

S.S.ラージャマウリ監督は、『ヤマドンガ』、『マガディーラ』、『イーガ』などのハイ・ファンタジー・ドラマで、とりわけ南インドの観客を釘付けにしてきた。しかしこの監督が脚光を浴びるようになり、その猛烈な仕事ぶりと想像力が世界に知られるようになったのは、『バーフバリ』の大ヒット後にすぎない。

ラージャマウリ監督とそのチームは、ラーム・チャランとJr NTRという南インドの2大スターを起用した大作『RRR』で、再びスクリーンに魔法をかけようとしている。映画の公開に先駆けて、監督にインタビューを行った。ラージャマウリ監督は、ETimesとの自由な対談の中で、『RRR』制作のアイデアがどのようにして生まれたのか、最大の批判者は誰か、オミクロン株流行の緊急事態の中で映画の公開日がどうなるか、などについて語っている。インタビューの一部を抜粋して紹介する。

 

『バーフバリ』のような完全フィクションの映画を観客に披露した後で、2人の実在の人物を絡ませたフィクションの物語を作ったのはどうしてですか?

 そのポイントが私にとって、『RRR』で一番、心沸き立つ部分なのです。私たちは伝記映画、別の言葉でいえば、フィクションの物語を作るのですが、そこに私は素晴らしいチャンスを見つけました。というのも、別々の道を歩んでいる二人のキャラクターが登場してきて、その二人の人生のどちらにも、その間に何があったのか誰も知らない期間があるのです。これは美しい偶然です。私はその時間軸にあてはまる形でフィクションの物語を作って映画にできないだろうか、と考えました。そのアイデアは私に火を着けました。アイデアを、映画のストーリーライターである父・ヴィジャイェーンドラ・プラサッドに話したところ、彼も素晴らしいと思ってくれて。二人で一緒に座って『RRR』を考えたのですが、私にとってはこれが、この映画の最もエキサイティングな部分です。

 

RRR』製作に多くをつぎ込んできて、監督はいまどのような心境でしょう?興奮していますか、不安に思っていますか?

 私はこの映画に超興奮しています!そして、自分の仕事が終われば神経質な部分も出てきます。私は、自分の手元の仕事が終わってからリリースまでの間のわずかな隙間時間に、心配事が出てくる性質なのです。今はまだ、映画のためにやり残している仕事が少しだけ残っているので、その緊張感からは、1パーセントくらいかな、離れることができています。そのようなわけで今この時点では、興奮しています。でも、公開日が近づけば、不安が出てきますよ。

 

前作『バーフバリ』では観客の共感の具合が従来とは大きく違っていましたが、『RRR』でも同じようなマジックを起こせると確信していますか?

 人々が『バーフバリ』に共感したのは、人々を惹きつけるような人間的な感情や瞬間があるからでしょうね。人々はそのような経験を覚えていて、「『バーフバリ』のような別の作品を見たい」といった声をあげるときに皆が思っていることは、誰もが同じような種類の感情や経験を必要としている、ということなのです。私が『RRR』に自信を持てるのも、その点があるからなのです。私も同じような人間らしい感情を持っています。人並み以上ではないとしてもね。そして、より多くの映画的瞬間が観客の心をつかむことになれば、そのことは私に映画に対する自信を持たせてくれます。マジックの内容は異なるでしょうけれど、マジックはきっとありますよ。


映画の配役を決定する際に、どのような点を考慮していますか?

 それを決めるのは脚本です。今作『RRR』でもそうですが、映画の脚本が完成したならば、そこには沢山のアクションシーンがあり、沢山の感情を揺さぶるようなシーンが書かれていることでしょう。だから私はキャラクターには、体調を万全に整えられる役者で、演技力だけでなく、脚本が要求する強い感情を持った役者を求めました。私は、条件にぴったり合ったラーム(ラム・チャラン)とビーム(タラク)を知っていた。彼らを選んだ理由はまさにそれです。アジャイ サー(アジャイ・デーヴン)とアリア(アリア・バット)についても同じです。アジャイ サーのキャラクターは、この映画の魂と言っても過言ではありません。多くの感情を押し殺して、それを目で表現しなければならない。彼の顔やキャラクターには誠実さがなければなりませんが、私はその答えをアジャイ・デーヴンに見出したのです。また、アリアには、とても柔らかく壊れやすい、ガラス人形のような人物を求めていたのですが、実際の彼女は全くそんなことはなかった。彼女はダイヤモンドです。彼女は、2つのスーパーパワーを封じ込め、ひとつにまとめることができるほど強い。脚本がそのような役者を求めていたので、私はそれに応えました。

 

監督の意図を汲んでくれる俳優は誰でしたか? ラーム・チャラン、Jr NTR、アジャイ・デーヴン、アリア・バット あるいはシュリヤー・サラン

 みんな監督の意図を体現してくれる俳優でしたが、演技に対するアプローチは全く異なっていました。タラクはすべてを頭の中に入れています。セリフはもちろん、以前に交わした会話もすべて覚えていますし、私が与えたナレーションもすべて覚えていますし、彼が撮影に臨むときには、自分が何を表現しなければならないかがすでに決まっていて、私が指示する必要はありませんでした。10回のうち9回は、私は彼に言葉をかける必要も、演技を修正する必要もありませんでした。彼は、何であれ、必要とされるちょうどそのことを表現してくれます。一方、チャランの場合は全くそれとは違っていて、彼は心を完全にすっきりさせておいて、白い紙、何も書いていない黒板のようになる。彼は私のところに来て、『来ました。ここにペンがあります。あなたは私に好きなことを書いてください、あなたは私を好きなように動かしてください』と言うのです。彼はそれを完璧にこなします。そのような訳で、役者としてのアプローチは異なりますが、結果は同じになります。アジャイ・サーとアリアも同様で、彼らは監督が何を求めているかを理解し、それを体現するのです。

 

一番の批評家は誰ですか?

 私の家族全員です。彼らは冷酷な批評家で、絶対的に冷酷です。私は彼らの父親であり、息子であり、夫であり、兄弟であるにもかかわらず、何か気に入らないところがあれば、私の作品を容赦なく破り捨ててしまうんですよ(笑)。彼らは最も過酷な存在で、他の誰もその足元にも及びません。でもそうでありながら、彼らは私の「強み」でもあります。彼らは私を正しい方向に導いてくれるので、私は彼らから学びを得るのです。


映画の予告編を見ると、アクションシーンや感動的なドラマが満載で、とても素晴らしいですね。そこで、ラージャマウリ監督の作品を、暴力描写の多いハードコア・アクションと呼ぶのは正しいのでしょうか?

確かに、暴力は私のストーリーテリングの一部ですけれど、ネガティブなものではありません。暴力的であろうと、ソフトであろうと、その他どのような種類の感情であろうと、それら一つひとつのすべてについて、私は自分を「虫眼鏡」と呼びたいと思っています。私は自分の感情を増幅することが好きなのです。そして、同じ感情でも、アクションがあれば、それはずっと増幅され、何かが周囲を走り回っていれば、爆発すると感じるのです。日常を超えた効果を出すことができる。それが私のストーリーテリング手法なのです。私はそういう風に映画を見たいし、そういう風に映画を作りたいと思っています。


(【下】につづく)

2021年12月22日水曜日

★オミクロンは累計200例。インド国内で新たに5,326件のコロナ症例が報告【最新インド・ニュースを日本語で!(#217)】

ニューデリー:連邦保健省が火曜日に発表したところによると、インドではこれまでに200例のオミクロン株症例が検出。そのうち77人の患者が回復している。
内訳は、マハーラーシュトラとデリーでオミクロン株がそれぞれ54件記録された。テランガーナで20件、カルナータカで19件、ラジャスタンで18件、ケーララで15件、グジャラートで14件となっている。

2021年12月20日月曜日

★インドでは依然としてデルタ型が主流:ICMR【最新インド・ニュースを日本語で!(#216)】

プネー:インド医学研究評議会(ICMR)は土曜日、インドでは引き続きコロナウイルスのデルタ型が主流となっており、オミクロンはまだそれに取って代わっていないとし、現在行われている予防措置やワクチンは引き続き有効だと発表した。

2021年12月15日水曜日

★「インドにとってスラージはスワラージと同じくらい重要だ」:モディ首相、バラナシで語る【最新インド・ニュースを日本語で!(#215)】

ヴァラナシ:ナレーンドラ・モディ首相は火曜日、我が国にとって「スラージ」(良い政治)は「スワラージ」(自主独立)と同じくらい重要だ、と強調した。

 

 「国の『アートマニルバル・バーラト・ミッション』が始まり、ローカルな商売や製品が強化された。地元の商売がグローバル化している」と首相はバラナシで語った。

 

2021年12月13日月曜日

★「私たちはインド軍を誇りに思っている」:軍が前統合参謀総長(CDS)ラワット氏の最後の公開スピーチを放映【最新インド・ニュースを日本語で!(#...

ニューデリー:日曜日、インド陸軍は1971年の印パ戦争から50周年を記念して、127日に録画された、前統合参謀総長CDSの故ビピン・ラワット将軍の最後の公開スピーチを含む短いビデオ・クリップをリリースした。「私たちはインド軍を誇りに思っている。一緒に勝利を祝おう」と、128日、軍用ヘリコプターの墜落事故で亡くなったラワット将軍はビデオで述べている。

2021年12月11日土曜日

★Realme、「まだインドNo.1のスマートフォン・ブランドになっていない」というツイートでXiaomiを揶揄【最新インド・ニュースを日本語で...

ニューデリー:現在、最も急成長しているスマートフォン・ブランドのRealmeは金曜日、ある世界的な調査会社の調査で、Xiaomiが独立ブランドのPocoとの合算で、10月のインド市場におけるスマートフォン・シェアのトップに立ったと、皮肉を込めてツイートした。

2021年12月3日金曜日

★新型コロナ:変異株オミクロンに関するFAQ【最新インド・ニュースを日本語で!(#212)】

ニューデリー:20211124日、南アフリカの研究者がオミクロン(B.1.1.529)という名の新しい亜種を報告。2日後、世界保健機関(WHO)はこれを「懸念すべき変異種」(VoC)に指定した。