2021年2月11日木曜日

先住民族の言葉には、気候変動の危機から私たちを救う知恵があります(#1)

スワースモア・カレッジの言語学の教授であり、ナショナル・ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるデイヴィッド・ハリソンが、タイムス・エヴォークでスリジャナ・ミトラ=ダス氏にインタビューしました。著名な学者で辞書学者でもあるスリジャナ・ミトラ=ダス氏は、土着言語の特殊性や、それがいかに文字によるコミュニケーションよりも優れたものであるか、そしてインドのアルナーチャル・プラデーシュ州から広まったコロアカ(コロ語)の驚くべき旅について語ってくれました。

-あなたが研究してきた土着言語の最大の特徴とは何でしょうか?
私が最も素晴らしいと思うことは、土着の言語が自然と結びついている、ということです。例えば、1000種類以上の植物を認識し、それぞれの植物の薬効を知る能力がある。こうした自然についての知識のレベルは、世界の主要な言語のほとんどをはるかに超えています。これは、それらの言語が、それぞれの言語の置かれている特有の環境条件に完全に適応しているという事実に由来するのです。そこには分類学、つまり生物の命名、分類、分析の科学があります。
このように、先住民のコミュニティは何百もの植物、動物、魚の種の名前を挙げることができます。また、時計やカレンダーを使わずに、時間を教えたり、天文学的な出来事を追跡したりするための、非常に正確な方法を持っています。
私は南太平洋のバヌアツで働いたことがありますが、先住民族は地図やコンパスなどの機械を使わずに、星や海流の知識だけで海を航行しています。機械に依存した技術文明の地からやって来た私たちには奇跡的な成果のように見えます。そういったことはどうすれば実現できるのでしょうか?これらの文化には古代の知識体系があり、それが言語を通じて生き残っています。これら伝統言語は、世界の素晴らしい知識の宝庫なのです。
 
The first word: Koro Aka speakers Abamu Degio and Athony Degio, with linguist David Harrison, recording their heritage language for the first time (Picture courtesy: Jeremy Fahringer) 
-なぜ土着言語は絶滅の危機に瀕しているのでしょうか?
言語もまた、抑圧と差別に悩まされています。彼らもまた、権利を剥奪される可能性があるのです。植民地主義と世界言語の支配がこの峠を越えて入ってきました。今日、多くの先住民族のコミュニティは、自分たちの言語を放棄するよう圧力をかけられています。インドは素晴らしい例外で、800もの言語が話されているインドは、多言語主義が称賛される言語的多元主義の素晴らしい実例だと言えます。23もの公用語があるというのは、他のどの国にも見られない特徴であり、「言語の多様性が大切にされている」という強いシグナルを送っていることになります。そして、それぞれの言語には知識のベースがありますので、言語が多ければ多いほど知識が豊富になります。
言語の多様性は、異なる予測因子によって出現します。それは生物多様性と相関しています。つまり、生物多様性が豊かであればあるほど、言語の多様性も豊かになるのです。また、山地や島があれば、言語の多様性も高まります。このような予測因子は、他の言語とは明らかに関連性のない言語を生み出してきました。それらは謎を提示しています。
私が調査したインドのアルナーチャル・プラデーシュ州のコロアカ語はその一例です。私はチームとともに、これが方言ではなく、独自の言語であることを科学的に初めて証明しました。近隣の他の言語との関係は見られません。そして、何世紀も前から存在していた古代言語のようです。
私たちは今、私たち自身と地球を守るために、このような土着の言語を守る必要があります。先住民族の言語は、自然や種と、より密接な関係を持っているため、地球規模での持続可能性と生存の鍵を握っています。彼らの知見は、私たちを救うことができます。しかし、それは、グローバルな言語を話す人が喜んで耳を傾ける場合に限ります。
 
What we could lose: ‘Language hotspots’, as researched by Harrison and his colleagues, outline regions with the richest linguistic diversity and the highest levels of endangerment. Surveys estimate that at least half of the world’s languages could be extinct by 2100. (Data courtesy: D Harrison) 
-どうすれば私たちは聞くことを学べるでしょうか?
先住民族のコミュニティに敬意を持ってアプローチすべきです。こうした彼らの言語の多くは口承言語であり、多くの場合、「文盲」と見下されています。しかし、口承言語を話す人は、実際には膨大な量の情報を頭の中に蓄えており、識字文化圏の人にはない方法で脳を働かせています。例えば、私は、何かを記憶する代わりに、書き留めようとします。識字文化では、私たちは情報を保存するために文字とコンピュータに頼っています。一方、口承文化ではそうしたことをすべて頭の中でやっています。彼らはより多くのことを成し遂げているのです。だから、私たちは根拠に乏しい優越感をもって彼らに接するのではなく、彼らの知識を尊重すべきなのです。その時はじめて、私たちは彼らから学ぶことができるのです。

-デジタル技術は先住民族の言語の保護にどのようなかたちで役立っていますか?
インターネットは言語が生き抜くための主要なツールです - 私がコロアカ語の書き取りを始める以前、それは僻地であるアルナーチャル・プラデーシュ州で、約1,000人の人々によって話されていました。この言葉がその地域の外では聞かれることはありませんでした。現在では、私たちが会話辞書や動画を作ったことにより、世界中で耳にすることができるようになっています。ソーシャルメディアも非常に効果的です。コロアカ語でヒップホップを披露する若者たちの動画は何千ものヒットを記録しました。世界中の人々がこの素晴らしい言葉の芸術を称賛しています。そして、これらのコミュニティは世界的なプラットフォームを持っています。より多くのことができるようになっています。主要な学校では、伝統的な言語を履修科目の一つとして取り入れることができます。多言語環境で成長することは、子供たちに大きな認知上の優位性を与えてくれます。そして、伝統言語は、想像を絶するほど豊かな宇宙へのアクセスを与えてくれます。ここでは自然とのつながりが見事に表現されています。それだけでなく、これらはまた、素晴らしいスピリチュアルなものの見方をも提示しています。それは、ヒュー/マンとして生きる私たちに、「私たちはどういう生き物なのか」ということについての、より豊かな理解を与えてくれます。

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