2021年8月14日土曜日

★慢性疾患という重荷が、インドでのコロナの猛威を助長した

 糖尿病や高血圧などの慢性疾患が多いことが、世界で2番目に人口の多い国であるインドを襲ったコロナウイルスの大流行に拍車をかけたと考えられる。

インドにおける新型コロナの数少ない大規模調査の結果、南部のマドゥライ地区の患者は、

63 %が無症状であったにもかかわらず、中国、欧州、韓国、米国の患者に比べて死亡リスクが高いことがわかった。ランセット誌に掲載されたレポートによると、地域の慢性的な健康状態が何らかの影響をもたらしている可能性があるとのことだ。

インドでは、中産階級が拡大し、座りっぱなしの豊かなライフスタイルを送るようになったことで、長年にわたり非伝染性疾患の深刻化に直面してきた。そのため、糖尿病や心臓病などの病気にかかりやすく、これらの病気はこの国の死亡原因の約3分の2を占めている。このような状況がコロナウイルスの被害を拡大させ、患者数や死亡者数を増加させ、崩壊寸前となったインドの医療システムへの影響に拍車をかけた可能性がある。

 

1つ以上の既往症がある感染患者の死亡率は5.7 %で、健康な患者の死亡率は0.7 %だった。今回のデータは、インドの第1波の時期である520日から20201031日までに、マドゥライでRT-PCRと呼ばれるコロナウイルス検査を受けた40万人以上の人々から得られたものだ。

「高血圧と糖尿病が、コロナ感染そのもの、あるいは少なくともRCTテストで陽性と判定されることを予見するのに実際に役に立つという知見は、それ自体が重要な発見だ。インドの糖尿病や高血圧症の数が半分だったならば、第2波の影響ははるかに小さかっただろう」と、本研究の筆頭著者であり、疾病動態経済政策センター(Center for Disease Dynamics, Economics and Policy)の創設者であるラマナン・ラクシュミナラヤン氏は、インタビューに応えて語った。

 

同氏は、政府が、病原体による被害を抑制するための方策として最優先で進めるべきは、国民に共通する健康状態の管理だ、と言う。

 

大量の過少報告

また、感染者数と死亡者数の比率や、昨年1019日から115日の間にマドゥライですでに感染防御抗体を産生していた人の数などを評価した結果、インドではコロナの感染者数と死亡者数が大幅に過少報告されていると考えられることをこのレポートは強調している。その結果、検査によって発見されたのは、感染者については1.4 %に過ぎず、想定される死亡者数については11 %でしかなかった。

 

科学者の中には、5月中旬にピークを迎えた第2波によってインドの病院が破壊され、500万人もの人々が亡くなったのではないかと推測している人もいる。公式に発表されているパンデミック期間全体を通しての合計数である約43万人というのはそのほんの一部でしかない。今回の死亡者数は、既知の感染者数から予想される数よりも少ない、という。

本研究には、タミルナドゥ州政府、カリフォルニア大学バークレー校、プリンストン大学、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院の研究者も参加している。

このレポートはインドが予想される第3波の到来に備えようとしている最中に発表された。第3波については、ワクチンの防壁が築き上げられてきていることと、これまでの感染爆発により自然獲得された免疫により、第2波よりも小規模で、10月にピークを迎えるだろう、と予測している専門家もいる。7月に行われた全国調査では、6歳以上のインド人の3分の2がすでにコロナウイルスに曝されていたことがわかった。


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