2021年8月20日金曜日

★タリバンを歓迎する態度が、国内の反発を呼び起こす結果に:中国

 北京:中国は、タリバン主導のアフガニスタンを受け入れる準備をする一方、国内では、イスラム過激派との戦いを繰り広げている自国に相応しいパートナーとしてタリバンを売り込むことに、苦心している。

国営メディアや外交官は、同グループの過去を隠蔽し、「アフガン人民の選択」として紹介しようとしているが、これが中国国内で、同過激派組織の暴力や女性への抑圧の歴史を知る人々から激しい批判を受けている。北京政府は従来、タリバンと東トルキスタン・イスラム運動をリンクさせ、新疆でのテロ攻撃を非難してきた。

 

混乱を極める米軍の撤退劇の後で、中国は今、多くの国民が家を出る間もなく、鞭で打たれたかのような衝撃を受けることになった戦略的なUターンともいうべき、この組織の政権復帰を受け入れようとしている。アフガニスタンがさらに不安定になれば、中国が500億ドルもの「一帯一路」投資を行っている隣国パキスタンに悪影響を与え、過激派が国境を越えて送り込まれることにもなりかねない。

外務省の華春瑩(Hua Chunying)報道官は、木曜日のニュース・ブリーフィングでの公式メッセージを控え目なものとした。報道官はその場で、20年前の最初の政権時代に比べて「より明晰で理性的」だ、とタリバンを評価する海外コメントを紹介している。

 

「アフガン・タリバンへの不信感を強調する人もいるが、永遠に変わらないものはない、と言いたい」と華報道官。「"過去 " "現在 "とを見る必要がある。私たちは、言葉に耳を傾け、行動を見る必要がある」

先週の金曜日には、アメリカがアフガニスタンの人々に民主主義を押し付けることができなかったことに話を戻そうとした。「冷たい牛乳は中国人の胃に合わないし、アメリカ人が箸の使い方に慣れることはない。事実がそれを示しているように、民主主義に決まったモデルはない、ということだ」

 

共産党の機関紙「人民日報」は月曜日、タリバンとテロリズムとの関連については触れないまま、その歴史をビデオで紹介した。60秒間のビデオ・クリップは、このグループがアフガン内戦の最中に「難民キャンプの学生」によって結成され、「貧しい人々からの支援」によって拡大していったことを紹介し、「9.11のテロ以降、20年間にわたって米国との戦争を続けてきた」と述べている。

「なぜ党の機関紙はグループの過去を有耶無耶にしようとするのか」というユーザーからの疑問の声とともに、大きな反響を呼んだ投稿が、マイクロSNSサービスの微博でトレンド第5位となった。この投稿は後に削除されている。中には、街頭での斬首、有名なバーミヤンの仏像の破壊、女性の就労や就学の禁止など、暴力的な過去を引き合いに出す人もいた。

タリバンが国内で支持を得ているかのように臭わせる、中国は「アフガン国民の意思と選択」を尊重する、という外務省のコメントに対しても、同様の疑問が投げかけられた。ウィーチャット・ブログ「Philosophia」に投稿された、"アフガニスタンの人々の選択はタリバンなのか?"と問いかける内容の記事は、木曜日に検閲にかかるまでの間に、10万回以上読まれ、ソーシャルメディアで広く共有された。

アフガニスタンの女性たちが、せっかく得た勉強や仕事の機会を失う可能性が出てきたことは、デリケートな時期にある中国をつつくことになった。このところ中国では、タレントのクリス・ウーがレイプ疑惑で逮捕されたり、アリババ・グループ・ホールディング社の幹部が性的暴行容疑で逮捕されるなどの事件があって、凝り固まった家父長制に対する新たな批判の波が起きていたところだった。

アフガニスタンの女性映画監督が自国への関心を世界に向けて訴えた嘆願が、中国のソーシャルメディアから削除され、一部のユーザーから怒りの声が上がっている。ある女性は「アフガンの人々の声はすべて検閲されています。あなたに!」とコメントしていた。

国営放送でさえ、語り口を一本化するのは難しいと判断したのか、国内外それぞれの視聴者に向けて、別々の路線を採ることにしたように見える。

国営の中国国際電視台は「アフガニスタンの人々は恐怖を感じており、一部の女性は家にいることを選んでいる。タリバンは、イスラム教の枠組みの中で女性の権利を尊重することが何を意味するのか、具体的に示していない」と、水曜日に欧米の視聴者を対象にした英語のレポートで伝えた。

 

同日、国営放送の国際ニュース専門チャンネルであるCCTV4の中国語版レポートは、より楽観的な見方をしていた。報告書では、将来への不安を訴える女性がいることを認める一方で、カブールの状況は「徐々に正常に戻りつつある」とし、タリバンは女性の就労や就学を認めるなど、女性の権利を守ることを含む複数の約束をしている、と伝えた。


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