2021年8月3日火曜日

★マルチ・スズキ:水素は「興味深い代替案」

ニューデリー:インド最大の販売シェアを誇る自動車メーカー、マルチ・スズキの会長は、水素を利用した移動手段は、リチウムの輸入依存度を下げることができる点で、インドにとって「興味深い代替案」だ、と述べた。世界各国の政府が、内燃機関の廃止などによる二酸化炭素排出量の削減目標の達成を自動車メーカーに求める中、電池用リチウムの需要が急増。

しかし、電池の価格が高いことに加え、充電インフラが整備されていないことから、インドでは自動車メーカーによる電気自動車(EV)の導入が遅れている。インドにはリチウムの埋蔵量がなく、その大半は中国が世界的に支配していることもその要因の一つだ。

 

マルチ社の会長であるRC・バールガヴァは、同社の年次報告書の中で、一人当たりの所得が約2,000ドル(ヨーロッパや日本の約5 %)で、販売される自動車の95 %2万ドル以下であるインドのような国では、EVは売れないと述べている。

バールガヴァ氏は、「ネット・ゼロ・エミッションに向けた戦略は、国内の経済状況やインフラの整備状況に即したものでなければならないと認識する必要がある」と述べている。

燃料消費と炭素ガス排出量削減のため、マルチ社は圧縮天然ガス(CNG)で走る車の販売を推進しており、ハイブリッド技術にも投資していると述べ、「水素の使用も興味深い代替案だ」と付け加えた。

マルチ社を傘下に持つスズキは、インド市場に適したクリーンな技術の開発にも力を入れており、日本のトヨタ自動車との提携はそのためにも有効であるとバールガヴァ氏は言う。

 

インドでは、テスラ社が電気自動車の輸入関税の引き下げを政府に働きかけるなど、電気自動車をめぐる議論が活発化しており、バールガヴァ氏の発言もその一環だ。

 

テスラの要求は、インドの自動車業界を二分している。インドの自動車市場の約18 %のシェアを持ち、マルチの最も近い競争相手である韓国の現代自動車は、テスラの提唱する輸入関税への減税を支持している。

 

また、マルチ社が水素支持のコメントを発したタイミングは、リライアンス・インダストリーズ社のムケーシュ・アンバニ会長が、燃料電池やグリーン水素を製造するギガ工場の設立を含め、クリーンエネルギーに100億ドルを投資すると発表した数週間後だった。


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