2021年9月27日月曜日

★ドナルド・トランプ前大統領に投与された薬剤の広範囲な使用にむけた準備が整う【最新インド・ニュースを日本語で!(#191)】

ニューデリー:新型コロナのマネジメント用に米国の医薬品大手リジェネロンが開発したモノクローナル抗体-カシリビマブとイムデビマブ-が世界保健機関(WHO)の軽度および重度の症状を発症した患者に対する治療法ガイドラインのリストに含まれることになった。モノクローナル抗体は、前米国大統領ドナルド・J・トランプの治療にも使用されている。
この薬物療法用薬剤は、5月から、「制限付き使用」ながら、ロナプレーヴェというブランド名でインドでは利用可能になっていた。WHOの承認で、国内での需要と受け入れが増加するだろう、と医師はコメントする。
「これまでこの薬剤は、病状の深刻化リスクが高そうな、軽度のコロナ患者にのみ使用していた。たとえば、慢性疾患を持つ人たちに、だ。WHOの新しいガイドラインでは、モノクローナル抗体利用で、重度および重篤な症例をうまく治療できると述べている。これは重要だ」と、マックス・ヘルスケア病院の内科部長であるサンディープ・ブディラージャ医師は述べている。
マックス・ヘルスケアの他に、アポロ、マックス、フォーティス、サー・ガンガーラーム病院といった私立病院もこの治療を提供している。しかし、高額な医療費のため、公立病院ではこの治療を提供しているところはほとんどない。
アポロ病院の呼吸器内科および救命救急医療のシニア・コンサルタントであるラジェーシュ・チャウラ医師によれば、モノクローナル抗体療法は、大手製薬会社の1つであるロシュによって輸入されているもので、国内では現地生産されていない。
「 この薬は、5月から6月にかけて、インドでの制限付きの使用が認められた。しかし、その時分から新型コロナの感染者が大幅に減少したため、この薬剤をあまり使用する必要がなくなってしまった。しかし、この新しい治療法は、新型コロナ感染者の治療と、第3波があった場合の入院のリスクを減らすのに役立つだろう」とチャウラ医師は言う。
ロナプレーヴェをインドに輸入しているロシュの広報担当は、患者一人当たりの治療費は、カシリビマブ600 mgとイムデビマブ600 mgとの合計1,200 mgの投与で、59,750ルピーになると述べた。
「当社では、国内で10万人分(最大20万人まで)のロナプレーヴェの準備を整えた。これは、当社のインド国内でのパートナーであるCipla社の流通ネットワークを通じて、全国で入手可能となっており、すべての主要な医療機関で利用が可能になっている。デリーでは、メダンタ、フォルティス、アポロ、マックスなど、主要な医療機関で利用できる。医療機関は最寄りのシプラ社の販売代理店に問い合わせてほしい」と、ロシュの広報担当は述べた。
多くの医師や保健活動家は、薬物療法の利用可能性を広げるために、価格を下げる必要があると述べている。WHOも同様に訴えている。

この国連機関はまた、この治療を必要とする可能性のあるすべての患者がそれにアクセスできるように、ジェネリック薬品の製造を可能とする製薬技術の共有も求めている。

抗体は、感染への反応として免疫系で自然に産生されるタンパク質だ。
モノクローナル抗体は、実験室で開発された分子であり、ガン細胞や感染症などの侵入者に反応する人体の自然な免疫システムの働きを模倣したり、作用を高めたりするように設計されている。
米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association:JAMA)に掲載された記事によると、モノクローナル抗体は、新型コロナの発生以前に、エボラや狂犬病などのいくつかのウイルス感染症を治療するために開発されたものだ。
「新型コロナ感染症を引き起こすウイルスは、表面にスパイク・タンパク質を持っていて、それがヒト細胞に付着して体内に侵入するのを助けている。対コロナ・ウイルスのモノクローナル抗体は、ウイルスのスパイク・タンパク質と結合して、ウイルスがヒト細胞に侵入するのを阻止する目的で開発された」と同記事は述べている。
WHOの最新のガイドラインによれば、この治療法は、最高度の入院リスクにある、重症でないコロナ感染症患者、および「血清反応陰性」、すなわちこの病原体に対する自前の抗体を持っていない、重度もしくは重篤な感染症の患者に使用できる。
一つ目の推奨事項は、これは、カシリビマブとイムデビマブが、ワクチン未接種であったり、高齢であったり、免疫不全であったりという、重症化の危険が最高度に高い患者の入院リスクと症状の持続期間を減少させるらしい、という3つの治験からの新しいエビデンスに基づいてのものだと、WHOは言う。
同機関はまた、二つ目の推奨事項は、回復者に対する治験データで、どうやらカシリビマブとイムデビマブが死亡数が減らしているらしい(重度患者の1,000人あたり49人、重篤患者の同87人)ということ、また血清反応陰性患者が人工呼吸器を必要とするケースを減らしているらしいということが示されたことに基づいている、とも付け加えた。

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