メールート:アルチャナ・デーヴィー(45歳)は、重度のコロナ感染症状を呈し、息をするのもやっとの状態で、メールートのララ・ラジパット・ライ・メディカル・カレッジに運ばれてきた。4月21日だった。アルチャナの病状は悪化し、家族もあきらめかけていた。しかし、コロナ治療でのインド最長記録に並ぶ100日の入院期間の間、何度も恐怖を味わい、ヒヤリとした経験をしながらも、アルチャナはコロナウイルスに打ち勝ち、金曜日に退院した。「私は家族のために生き延びた」とアルチャナは退院後に語った。「もうだめだ、と思った日を覚えています。痛みに耐えられなくなったのです。しかし、私を引き止めたのは、息子の声でした。彼は『大丈夫だ』と言い続けていました」
長男のパニート・クマールは、「病院に運ばれて来る患者さんのほとんどが1、2週間で亡くなっていました。私たちは希望を失っていました」とTOIに語った。住まいのあるマワナから病院に運ばれたとき、アルチャナは酸素飽和度が30 %以下で、動悸と高熱があり、意識を失っていた。
当時、病院では5人の医師が24時間体制でコロナの病棟を担当していた。「4月と5月は大変だった」と語るのは、アルチャナを担当したヨギータ・シン医師。「患者さんが死に瀕して、ご家族の協力が得られないケースも多々あった。しかし、アルチャナの場合は、家族が大きな助けとなってくれた」
アルチャナは来院するとすぐに、BiPAP(バイレベル気道陽圧)という、重篤な肺疾患や心臓疾患を持つ人のための呼吸補助装置を装着された。彼女は2ヶ月間、この呼吸器系のサポートを受けなければならなかった。一時は100 %のFiO2(空気中の酸素量を表す。私たちが呼吸する自然界の空気は、21 %のFiO2を持っている)を投与しなければならないほど深刻な状況に陥った。
当初、非呼気マスク、すなわち、緊急時に用いる高濃度の酸素を供給するための機材が、数週間にわたって彼女を支えた。その後、段階を追って、低~中流量の酸素を供給する鼻カニューレ使用へと移行していった。
しかし、6月中旬になって、また新たな問題が発生した。黒カビだ。「彼女は、鼻や目の周りに傷や出来物ができていた。黒カビか、と思ったが、ステロイドを止めることができなかった」とシン医師。ステロイドは体の免疫反応を低下させ、ムコールマイシン(黒カビ)などの感染症にかかりやすくなる。しかし、抗炎症作用があり、インドでは重度のコロナの治療に使われている。そこで医師は、肺の浄化ために、2週間前から胸部理学療法を開始した。「彼女は乗り越えた。稀なケースだが、彼女はICUからそのまま退院した」とシン医師は付け加えた。農業を営む夫のビア・シンと薬学生の息子プニートとクナルが、現在は彼女を家に連れて帰っている。
彼女の治療は、インドで最も長期間の治療一つでした。今年の1月、グジャラートのソラに住む59歳の男性、デーヴェーンドラ・パルマルが、コロナで入院して113日間の治療の後、退院していた。インド医師会の元会長であるデリーのヴィネイ・アガルワルは、「アルチャナの入院が、国内で最も長いコロナ関連での入院の一つであることは間違いない」と述べている。
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