2021年6月7日月曜日

★ムコール菌症の治療費を100分の1にする方法を外科医が発見

プネー:血中クレアチニン濃度を注意深く追跡すれば、コロナ感染症後ムコール菌症と闘っている患者の毎日の薬代が35,000ルピーから350ルピーになり、経済的苦痛を軽減できる可能性のあることが、治療にあたっている外科医によって明らかにされた。
感染症治療に不可欠な薬剤であるアンフォテリシン注射薬のリポソーム型の価格は法外なものだ。一方で、従来型の薬剤は、コストは100分の1で済むが、投与に慎重な管理が必要となる。隔日で血液検査を行って、腎臓が薬物中毒になるのを防がなくてはならない。

 クレアチニン値が上昇した場合には、21日間のコースを終了して、23回の「ピットストップ」(「アンフォテリシン・ホリデー」とも呼ばれる)を行い、体を正常化させる。クレアチニンは、腎臓から体外に排出される老廃物である。

 耳鼻咽喉科医のサミル・ジョシ氏は、従来言われてきた、アンフォテリシンが腎障害を引き起こすという「根拠のない」懸念が、リポソーム型薬剤の「過剰な需要」につながっている、と述べている。「この恐怖を払拭しなければならない」

 両タイプのアンフォテリシンの有効性は同等であると医師は言う。重要なことは、腎不全や糖尿病性ケトアシドーシスなどの重大な合併症疾患がある患者には、従来型の薬剤を投与してはいけないということである。それ以外の患者たちでは、従来型のアンフォテリシンも、ムコール菌症の拡大を効果的に阻止することができることを、専門家たちは発見した。つまり、治療を行う医師は、血中クレアチニン濃度を注意深くモニターし、損傷した組織を取り除きさえすればよいのである。

 「リポソーム型アンフォテリシンは従来型よりも安全であることは間違いなく、誰もが安全なものを望むだろう。しかし、効果においては両者に違いはない」と、プネーのBJ医科大学ならびにサスーン総合病院の耳鼻咽喉科部長であるジョシ氏は言う。

同氏は、コロナ感染症後ムコール菌症の患者を約201人治療している。「これらの患者のうち85 %以上が、従来型のアンフォテリシンのモニター使用と慎重に計画された創面切除手術によって回復に成功した。彼らを長期的にフォローアップしていけば、この成功率は確固たるものになるだろう」

コロナ禍以前、ジョシ医師は65人のムコール菌症患者を従来型のアンフォテリシンで治療していた。「そのうち、63人の患者が回復し、生存している」と語った。

 アンフォテリシンと手術の併用で、通常はうまくいく。手術で、死んだ組織や壊死した組織を取り除く。アンフォテリシンは、隣接する生きた組織での真菌の進行を阻止する。

 耳鼻咽喉科医のサンディープ・カルマカル氏は言う。「すべての患部組織でのデブリードメント(除去)が非常に重要だ。徹底的に除去してこそ、薬剤が目的の部位に届く」

 現状、従来型のアンフォテリシンもリポソーム型のアンフォテリシンも供給が限られているため、簡単に入手することはできない。「リポソーム型アンフォテリシンBには毒性がなく、電解質の変化が少ないため、短時間で高用量の投与が可能であり、組織への浸透性にも優れている」と言われている。


0 件のコメント:

コメントを投稿