ニューデリー:モンスーンの早い訪れは、首都の大気汚染を悪化させる方向に働く可能性がある。モンスーンの訪れが早かったことで、仮にその後退も早まり、それが汚染の早期発生を促すことになるようであれば、その可能性はある。
昨年は、にわか雨が降らなかった10月上旬の時点で、大気汚染レベルは「悪い」となり、中旬までに「非常に悪い」に達した。モンスーンが早く来て、早く後退した場合、今年も同じ状況が繰り返される可能性がある、と専門家は指摘する。
一般に、デリー首都圏の大気汚染レベルは、10月中旬までに上昇し始めるが、これは、作物の野焼きのシーズンならびに、モンスーンが後退した後に風向が変化する時期と一致する。専門家は、これが「停滞」段階、すなわち、地域全体に汚染物質が閉じ込められる状況を引き起こしていると信じている。
CPCB(中央汚染管理委員会)の大気部門の元責任者であるディーパンカル・サハ氏は、実際にモンスーンが早期に後退した場合、大きく分けて2つの影響が、今年、生じる可能性があると述べる。「長期的なスパンでみれば、モンスーンの開始が遅れる年もあれば、早まる年もあるものだ。しかし、穀物の収穫期は一般に、モンスーンの時期と相関関係にあるので、モンスーンの後退が早ければ、耕地での野焼きの始まりも少し早まることになるだろう」。サハ氏はまた、モンスーンが後退すれば風向きが変わり、空気の入れ替え作用が低下する、とも付け加えた。
「これが冬の大気汚染を大規模なものにしている要因で、今年も同じようなことが起こる可能性はある。モンスーンの後退は多くの気象学的変化をもたらす。大気境界層も下降を始め、それが汚染物質を地表近くに閉じ込める。予測するのは時期尚早だが、モンスーンの進行状況はモニターし続ける必要があるだろう」と、サハ氏は説明した。
モンスーンの後退が遅かった(10月の第2週)2019年は、大気汚染レベルは10月中旬まで「中程度」にとどまり、晩雨が冬の大気汚染に与える好影響が浮き彫りとなった。
最近WHOの地球大気汚染および健康技術諮問グループのメンバーに任命された、IIT-カーンプルのムケーシュ・シャルマ教授は、モンスーンの雨と冬の汚染との直接的な相関関係はまだ分析されていないが、汚染の減少に対する降雨の影響は明らかだ、と語る。「降雨は、大小両方の粒子状物質(PM)に影響を与え、ガス含有量も低下させる。したがって、雨季が長引けば長引くほど、初冬の大気汚染は少なくなる」とシャルマ氏は述べている。
科学環境研究センターの研究・提言部門の執行理事である アヌミタ・ロイ=チョウドリー氏もまたこの意見に同意する。彼女はまた、モンスーンと冬の大気汚染との関係はまだ解明されていないが、それは長期的な変化の効果を際立たせてくれるものだ、と付け加えた。「私たちは、雨などの短期的な効果に頼ることなく、発生源での排出物を速やかに、かつ大規模に削減する必要がある。そうすれば、雨が降っていなくても、また条件が悪い場合でも、汚染の蓄積を防ぐことができる」と、チョウドリー氏は述べている。
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