少女は人権をもって生きる独立した個人である：ヒマーチャルプラデーシュ州高裁（#17）

シムラー：上層カーストの少女と指定カーストの少年との結婚に関する嘆願を審議する中で、ヒマーチャルプラデーシュ州高等裁判所は、少女は牛や非生物ではなく、他の人と同様、権利を有する生きた、独立の魂であり、成年に達したならば、希望に従って自らの裁量の範囲内で権利を行使できるということを忘れてはならない、と述べた。 

女性は、男性の楽しみのために、神によって男性の肋骨から作られたとする西洋古代の思想とは異なり、インドでは、ヴェーダ時代以来、現代の観点からすれば根絶しなければならないものである中世期の悪習を除けば、いつの時代も、女性は常に男性と平等、というよりもむしろ、男性よりも高い境位にあると見なされていた、と法廷は述べた。

金曜日に下された判決の中で、Vivek Singh Thakur判事は、少女は望むところに自由に行き、住むことができると述べた。

カーストの違いによる結婚への反対について、これは霊的かつ宗教的な無知によるもので、憲法上の義務に違反する行動につながるものだ、とタクール判事は付言した 。同判事は、インド憲法は古代のバラタ族の社会の価値を体現するものであって、個人の思想信条の独立は、インド文化の根本的な特徴である、とする。

「私たちは憲法に準拠して生活しているのであり、配偶者を選ぶ権利を否定するといったカーストに基づく差別は、インド憲法の下で保証されている基本的権利に違反している」とタクル判事は続けた。

カースト制度の継続と、それに基づく差別を主張する人々は、その根拠を宗教に関連付けているけれども、そうした考えは、宗教の基本的かつ真の本質に反しているのであるから、それは無知によるものである。神が至る所にあり、すなわち、すべての人のなかに存在していて、それゆえ、すべての人が神の前にあっては平等である、ということは、あらゆる宗教が霊的かつ宗教的に命じるところです。 また、神は生物だけでなく、非生物の中にも存在していると考えられているのだから、誰であれ、性別、カースト、信条、人種、肌の色、経済状態等で差別を受けることがあってはならない。

同法廷は、神のメッセージとされるシュリーマット・バガヴァット・ギーターにも、神の被造物を差別し、神の遍在を見ることのない者は、自己実現ならびに神の祝福を受けることは決してないと説かれている、とした。

「カーストに基づく差別は、一部のスムリティとプラーナに基づいて提唱されているものであるが、これは、宗教的規範の最高の法源はヴェーダなのであり、スムリティとプラーナを含む他のすべての宗教文献に説かれている内容で、ヴェーダに説かれる基本原則に反しているものは、ヴェーダを踏み越えるものであって、それ故にダルマに反するものなのであり、したがって、破棄されるべきものであるという基本原則を忘れているのである」。

同法廷はさらに、ヴェーダは、すべての人類の向上と進歩のために、一緒に働き、一緒に食事をし、一緒に行進し、一緒に暮らすべきであると宣言したのであり、差別のない平等と向上の原則を提唱している、と述べた。 宗教を装ったカーストに基づく差別は、不幸なことに、差別に依拠するものであり、霊的および宗教的な基本的原則へのアンチテーゼなのである。 したがって、カーストに基づく差別は、憲法上の義務に違反しているだけでなく、真のダルマに逆行するものでもあるのだ、とも述べた。

結婚する権利、または正当な理由のもとで結婚しない権利、そして配偶者を選ぶ権利は、古代からインド社会で広く認知されてきた権利であると言われている。 古代インド社会では異宗教間の結婚も許されていたが、中世の悪習のため、誤った認識が私たちの文化と文明の豊かな価値観と原則を曇らせてきたのだ。

同法廷は続ける。家族の成員は絆で結ばれているのであり、また、調和のとれた家庭生活と家族の平和のために、家族についての規律と伝統の規範に従うことを期待されていることに疑いの余地はない、と法廷は述べた。 「家族」は社会生活の基本単位であり、家族の健全な雰囲気は、健全な社会の構築に役立つ。しかしまた同時に、家族の基本単位は個人でもある。 個人が家族内の他のメンバーの希望に沿って行動し、家族の伝統を尊重することが想定されている場合、同時に、個々のメンバーの個性を成長させるために不可欠な自由というものも必要となるのであり、そのためにはまた、個人の権利が保護されるべきなのだ。

個人の自由を抑圧したり圧迫したりすることは、霊的および宗教的権利だけでなく憲法上の権利にも反するものであり、廃止されるべきである。 個人、家族、社会の利益の間でバランスを維持する必要があり、またそれは、憲法上の義務と一致している必要がある、と同法廷は結論した。