2021年4月15日木曜日

ルピーはアジア通貨で最高の地位から2週間で最悪に(#63)

ニューデリー:ルピーは、前四半期にアジア通貨の中で最も高いパフォーマンスを示していたが、現在は最も低いパフォーマンスとなっている。今後、さらなる損失が出る方向とみられている。コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じ、過去最多となっていることが、インド経済の屋台骨を脅かしているためである。
今週、ルピーは8ヶ月ぶりに1ドル=75ルピーを超えて下落。フェデラルバンクは、ルピーはこの先さらに下落して、年末までに76ルピーを伺うところまで下がるだろうと予想している。

ICICI銀行の試算によれば、ルピーに対するドルのショート(売り持ち)ポジションが500億ドルにまで積み上がっており、これの巻き返しにより、同通貨の下落はさらに加速する可能性がある。
インドがブラジルを抜いて、世界で2番目のコロナ被害国となったことで、通貨の大混乱が起こっている。インド全域において移動規制が強化されたことで、長期にわたるロックダウンにより需要が圧迫され、およそ70年ぶりの景気後退となった昨年の記憶が人々に蘇える。
「ムンバイにあるフェデラル・バンクのトレジャリー部門の責任者V・ラクシュマナンは、「経済成長は予想以上の影響を受けるだろう。我々はコロナの影響を過小評価している」と語っている。 
ルピーの対ドル相場は、3月に0.1 %下落した後、4月には2.6 %下落した。この3ヶ月間、米国の利回り上昇による影響を受けて、他のアジア諸国の通貨が軒並み下落する中、ルピーが比較的持ちこたえてこれたのは、インド経済に、稀に見る経常黒字、景気回復、海外からの大量の資金流入があったためであった。
トレーダーは、それらのルピーの追い風が弱まり始めることを懸念している。商品価格の上昇により、4月に始まった会計年度の経常収支は赤字に転落する可能性がある。また、先週発表された中央銀行の量的緩和は、過剰流動性をさらに助長し、ルピーをさらなる苦境に追い込むものと見られている。

しかし、バークレイは、インド準備銀行(RBI)がその膨大な外貨準備を使ってルピーを防衛するだろうと予想している。
外貨および新興市場マクロ戦略リサーチ部門の責任者アシシュ・アグラワル氏は、「今回の動きは相対的に行き過ぎたものであるため、RBIはこの入札でドルを売る可能性が高い」と述べている。同氏は、年末までにルピーは1ドル=73ルピーまで上昇すると予想しており、今回のルピー安は、他の新興市場の通貨が3月に被った損失を後追いで受けているものだ、との見方を示した。

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