2021年5月21日金曜日

★「ウイルスに先んじる!」。ムンバイは新型コロナの第3波に備えて加速

ムンバイ:インドの混雑した金融の中心地ムンバイは、今年、パンデミックの第2波への対応が国内のどの都市よりも優れていると評価された。そして今、同市は来たるべき第3波に先んじて対応を進めようと、ギアを一段引き上げている。第3波では、子供たちに感染が及ぶのではないか、と専門家たちは懸念している。

ムンバイでは、新型コロナに感染した子どもたちのために、市内に4つの巨大な療養センターを建設しているところで、そこでは、インドのトップレベルの小児科医を含む特別対策本部と緊密な連携をとっている、と同市の市政長官は言う。

ムンバイの市政長官イクバル・シン・チャハール氏はロイター通信に語った。「2歳の子供がほぼ間違いなく感染していると疑われる状態になった時、どうして母親なしで子供を病院に預けることができるだろう?我々は、そのための準備をすでに始めている。・・・ウイルスに先んじなくてはならない」

 

感染者数が2,500万人を超えるインドは、米国に次いで世界第2位の患者数を抱えており、多くの州では病院のベッド数の不足や酸素・医療用品の不足に悩まされている。

インドで最も豊かな州であるマハーラーシュトラにあるムンバイは、当初、国内で最も多い症例数を抱え、悪戦苦闘を強いられたが、厳格な都市ロックダウン、広範な検査、コロナの分散型管理システムを通じて、ウイルスの封じ込めに成功した。

現地での感染爆発をうまくコントロールしたことでチャハール氏は広く信頼を得ることとなった。彼は言う。病院と同等の機能を持つ小児科ユニットを備えた4つのコロナ療養センターは、1000人以上の子供たちを、親子ともども、収容することができる。

複数の集中治療室(ICU)も完備することになるこの施設は、専門家が予測している第3波の到来よりもずっと前の、来月までには完成する予定だ、とチャハールは言う。州や企業、さらにはボリウッドの有名人からも潤沢な資金が提供されていると付け加えた。

市では、小児科病棟の建設に数千万ドルを投じており、人工呼吸器やモニターなどの医療機器もすでに調達を終えている、とチャハール氏は言う。

これらのユニットとは別に、市当局では、小児用ベッドやICUの数を増やすように病院と協議している。

スハース・プラブー博士が率いる小児科タスクフォースは、約660人の小児科医に対して、新型コロナに感染した子どもたちへの対応をトレーニングする計画だ。その後、トレーニングの対象をさらに多くのスタッフに広げていくことを予定している。

「第3波は結果的に子どもたちに大きな影響を与えずにすんだ、となる可能性もあるだろうが、ムンバイのような都市では、想定外の事態に不意を突かれるといった失態は許されない」とプラブー氏は言う。

 

ムンバイモデル

チャールは、昨年5月にマハーラーシュトラ州知事のウダーヴ・タッカレーに抜擢され、ウイルス感染時に市の対応を指揮した。

陸軍士官の息子であるチャハールは、圧力を分散させるとともに、対応の迅速化を図って、市内24のゾーンに対コロナのローカル「ウォー・ルーム」(作戦指令室)を設置した。

マハーラーシュトラの他の都市では未だ高い数値が報告されているにもかかわらず、ムンバイでは患者数が減少していると、市内で3つの病院を経営す医師のプリンス・スラーナ氏は言う。

しかし、ムンバイは危機を脱したわけではない、とチャハール氏は言う。

 

インドの他の地域と同様、同市でもワクチン不足は深刻だ。

市では、民間企業から1,000万回分の接種量を調達するために国際入札を実施したと、チャハール氏は述べている。

 

彼は言う。「ワクチンが手に入れば、60日後にはムンバイはワクチン接種を完了し、第3波の脅威を退けることができる。それが私の最大の課題であり、今はそれに取り組んでいる。」


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