ニューデリー:南アフリカ、インド、その他の発展途上国は、ワクチンに加えて、新型コロナ薬と医療ツールのTRIPS(貿易関連での知的所有権)の放棄をも要求すると予想されている。
米国通商代表部のキャサリン・タイは、WTOの場で、米国はワクチンの特許緩和に関する交渉についてのみ賛同すると明言していることから、提案される特許放棄の範囲が次の議題となってきそうだ。昨年10月、インドと南アフリカは共同提案を提出したが、これは、TRIPS放棄の大まかな範囲の概要を示しただけのものだった。近く提出される改訂版のドラフトでは、適用範囲と期間の点で、当初の予想よりも広範にわたる案が提案されるだろう。
「知的財産は唯一の障壁ではないが、医療ツールの生産に影響を与える可能性のある重要な障壁であることは間違いない。... (放棄の)範囲は、診断、治療、医療製品、個人用機器を含む、保健医療製品および技術に及ぶことになる、と南アフリカのソレルワ・ムルンビ=ペテルWTO大使はオンライン・パネルディスカッションで述べた。
いくつかの特許薬が、コロナ向けに転用されて、重度の感染症に対処するために広く処方されている。60余りの発展途上国のグループはまた、取り扱い方針を最速でまとめ上げることができるよう、交渉は数週間以内に開始されるべきだと主張している。「TRIPS評議会は来月まで待つのではなく、5月の後半に会合すべきだ、と提案した」と、ある当局者は述べた。
専門家も、ワクチンの供給が遅れれば、それだけ多くの人々に悪影響を及ぼすため、時間が重要なファクターだと述べている。今週初め、インドのWTO大使ブラジェーンドラ・ナヴニートは、11月下旬の閣僚会議に先立ち、TRIPS免除を成果の一部に盛り込むことができると多国間協議会に提案した。
提案者は、約140億の需要に対し、年間35億回分という現在のワクチン生産能力では不十分だ、と主張している。稼働可能な休眠ラインがあることを考慮すれば、生産量は現在のレベルから月産10億回分近くにまで引き上げることが可能なはずだ。
インドは、新型コロナに対処するためには、天然痘、はしか、そして最近ではポリオに対処するためとられたのと同様なイニシアチブで、世界規模のワクチン接種を推進していくことが必要だと示唆している。その場合、毎月15億回分近くのワクチン生産が必要となってくる。「第1四半期には休眠ラインの使用を見込むことができ、続く第2,第3四半期には斜陽産業からの転換の流れが動き出すだろう」と当局者は述べている。
ワクチン開発に多額の投資を行ったと主張する製薬会社に打撃を与えるという論調に反論する形で、複数の政府筋は、パンデミックによる人命の損失や経済活動の低下と比べれば、製薬会社への打撃ははるかに小さなものだ、と述べた。
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